新キン肉マンに一区切りがついた件

 キン肉マンの最終回は旧肉といい、二世無印、究極タッグといい毎回あっさり気味というかあんまり余韻がなかったりする。
 そんなわけで完璧超人、悪魔超人、正義超人の三つ巴の戦いを描いた今シリーズ(とりあえず最終ページには完璧超人始祖編となっているができれば別のタイトルを考えてほしい)の最終回についてはそれほど言うことはありません。前回までで本編のテーマはだいたい語り尽くされてると思うし。
 とはいっても悪魔超人全員集合の見開きページで生き残り組のブラックホール、ザ・ニンジャ、ジャンクマンまでが死んだような扱いになっていること、そして本編でもぞんざいな扱いだったミスターカーメンが最後のシメでも首だけしか描かれていないという点についてはさすがにツッコんでおきたい。
 最終回本編の感想としては今シリーズ事実上の主役でありながらやることやり終えたらあっさり去っていく将軍様がカッコ良すぎたし、完璧超人と悪魔超人にそれぞれの道理があることを認めながらも相対主義には陥らず、殺し合いではなく「わかり合うための戦い」を貫き通す覚悟を決めたスグルも主人公としてのカッコよさを見せてくれた。
 そして自ら暴走していたことを認めた完璧超人たちが、力の暴走の抑止力となることを誓い、今シリーズのキーパーソン、キン肉タツノリがネメシスに忠告した「慈悲」の意味を示して〆るエンディング。完璧な最終回としか言いようがない。
 ロビンマスクアシュラマンといった生死不明の超人に関してスルーされてるのは、かつてのシリーズ最終回で「ご都合主義的に復活」を見ているファンとしては物足りなくはあるんですが、その辺りは新シリーズできっちり触れていくのだと信じたい。

 2011年から6年くらい続いた今シリーズを振り返ると、正直初期はあまり期待していなかった、というかキン肉マン二世の究極超人タッグ編があまりにも無駄な引き延ばしとガッカリ展開を繰り返すシリーズだったんで、キン肉マン本体にまで泥を塗らないでくれ、という半ば監視するような気持ちで読み始めたことを今でも覚えています。
 しかし始まってみれば地味なテリーマンを地味なまま輝かせたマックスラジアル戦はまっとうに面白かったし、アイドル超人と無量大数軍の戦いがはじまると見せかけて悪魔超人軍が無量大数軍と対決!という展開になってからは今回のキン肉マン、かなり面白いのでは?と引き込まれるようになった。
 そして悪魔将軍が本格参戦した始祖編からはかつてはいなかったタイプの魅力的なキャラと期待を裏切らない熱い展開が続出し、ゆでたまご先生は今が最盛期で、今のキン肉マンが一番面白いと心から思った。
 これだけ面白いキン肉マンを描かれてしまうと次のシリーズは今シリーズに及ばないだろうし下手をすれば究極超人タッグ編みたいな最悪の代物が来る可能性さえある、とネガティブな不安も大きい。事実、今シリーズのキン肉マンって悪役超人がバトルに参戦した辺りが二世の悪魔の種子編っぽいし、悪魔超人、完璧超人、正義超人三属性超人の大抗争という旧肉からの最大ネタをやり切ってしまった感もある。
 しかし今のゆで先生ならサタン編をやろうが第三回超人オリンピック編をやろうがちゃんと面白いものを描いてくれるんじゃないか。そんな期待の方が大きい。
 そしてとりあえず新シリーズではウォーズマンを今まで以上に活躍させてほしい。そのためならロビンは別に復活させなくても構わない、といったところでひとまず終わり。