とりとめのない話

 今やってるキン肉マンは面白いけど、ネット上で二世の存在を「なかったこと」にしたいという意見を見ると二世のヒットと反省があったからこそ今のキン肉マンがあるんだ、完璧超人始祖編がキレイに終わった今だからこそ二世の続編をやるべきなんだ、と思っていましたが、二世をちらっと読み返してみたら別にやらなくてもいいか……、という気持ちになりました。

 やはりヒカルドとかシヴァあたりの扱いを見るとちょっと作品の価値観への嫌悪は否めない部分はあるし、今のキン肉マンに登場するキャラや正悪の価値観が良すぎるので二世の扱いはシティハンターに対するエンジェルハートみたいにパラレルワールドということでいいのではないかしら。さすがに悪魔将軍の設定とか今肉と二世の間で矛盾がデカすぎるし。
 それにしても今のキン肉マンは本当に面白いんですけど、今のキン肉マンが本当にスゴイのはキン肉マン二世の連載を十年以上やっておきながら、キレイに二世で培った価値観をリセットしているところだと思います。
 あれだけ長い間続編ものをやっておきながらいざ初代の続編を始めたら、それがキン肉星王位争奪戦編の続きがそのまま始まったかのように開始して全盛期の面白さを受け継ぎつつ全盛期以上に面白くなったというのが今のキン肉マンのスゴイところなんですよね。

 大ヒットした漫画の続編ものというは色々あるわけですが、その大元の作品の面白さがそれら続編ものに受け継がれているか、というとそうでない作品も多いわけで、蒼天の拳北斗の拳リバイバルものかと思ったら中坊林太郎かよ!って思ったし、マーダーライセンス牙ブラックエンジェルズは雪藤が昔とキャラ違い過ぎてネタ的には面白くても正直読むのがキツかったりしたものです。
 キン肉マン二世キン肉マンの面白さをある程度は受け継いでいるけれど、ノリとか価値観なんかは初代とは別物って感じがしますよね。
 漫画の続編ものというのはその漫画が終わった後に作者が何も描いてないわけでなく色々な漫画を描いたきた上で続編ものを描くわけで、それらの作品での経験が良い方向に働く場合もあれば悪い方向に働くこともあって、経験値が上がってる以上良い影響が出てほしいものだけど過去作の続編にそれらがフィードバックされると「コレジャナイ」感ばかりが大きくなるというのはけっこうあるのかな、と思います。

 ゆで先生の場合、新キン肉マンを描く前にやっていたのはキン肉マン二世なんで、絵とか構成の経験値はまんま新肉にフィードバックできただろうけど、二世で不評だった点を全部反省し切って、初代の続編として最高のものを生み出したというのは本当にスゴイ。
 また新肉はゆで先生の担当編集者の人がものすごい敏腕でかつ肉の大ファンという話はあちこちから聞こえてきたんですが、本当に今回のキン肉マンは過去作からのネタの拾い方がスゴかったと思う。新肉が始まった当時に裁きの神ジャスティスが超人として登場するなんて誰が予想できた?
 担当編集者の方に関してはアメトークの肉回で話題が出ましたが、新キン肉マンのファンブックである超人閻魔帳にも編集者の方が担当してるページがあったりします。そのコーナーは担当編集者が選ぶ「ゆでたまご嶋田隆司先生打ち合わせ名言集ベスト10」。これを読むとゆで先生の発想のスゴさと担当さんの視点の確かさがかいま見えるので読んでない人は超人閻魔帳を買って読んでください。というか超人閻魔帳は始祖編最終回までの内容を含んだ第二弾を出してください。

 そんなわけで色々と書いてきましたが、とりあえず言いたいのは今のキン肉マンは昔やってたキン肉マンと同じノリで面白かったし、過去のキン肉マンを超えて面白くなったという続編ものとして稀有な存在なので昔キン肉マンを読んでいて、まだ今のキン肉マンを読んでいないという人がいたら新シリーズの準備中で休載している今こそ読み始めましょう、ということです。