新キン肉マンベストバウト五歌仙

 次回でキン肉マンが最終回、ということでこのブログもちょっと復活します。
 今回はシリーズ終了ということで新キン肉マンベストバウトについて5位まで選んでみました。
 正直ベスト5まで絞るのは無理、という気持ちはあったけどシリーズ全部の試合から割とバランスを取って選ぶ、という感じでやってみました。

第5位:ブラックホールvsダルメシマン

 今期のキン肉マンは武道やジャスティスマンのような正統派の強さを持つ強敵が目立ったけど、ギミック系の超人も色々出てきて、ゆで先生の超人的なアイディアマンぶりも充分に堪能することができました。その中でもダルメシマンは出色の出来、といえる超人だったと思う。
 犬の超人だから嗅覚が鋭い、鋭い爪や牙で攻撃する、というのが普通の漫画家の発想で実際、ゆで先生もダルメシにそういった技を使わせている。しかし犬の斑点模様を移動させて防御に使ったり、ボールにして攻撃したり、といった無茶なアイディアはゆで先生にしか思いつかないだろう。
 斑点を使った技以外にも唾液シールド、語り草になった「犬だから骨の形をした穴を選ぶ」といったトンデモ理論、そしてまさかのブラックホールの新技などといったアイディアがわずか四話程度の試合の中に惜しげもなく詰め込まれているのは本当にスゴイ。この試合あたりでゆで先生の絶頂期は「今」なのでは?と思い始めた人も多いと思います。
 
第4位:スニゲーターvsガンマン

 ガンマンの試合だとvsバッファローマン戦の方が正直盛り上がったとは思う。しかしインパクト的にはこっちの方が色々上だった。
 ミラージュマン、アビスマン、ペインマンと人格者ばかりが始祖として登場した中で粗野でやかましいガンマンのキャラはかなり印象的。というかコイツを皮切りにザ・マンの人を見る目の確かさが怪しくなっていく……。
 ある意味やられ役っぽいキャラを相手にかつ「弟子の敵討ち」という勝ちフラグを背負っていただけに試合前はスニゲーターが勝利する、と思っていたんだけど……。
 結果はご承知のようにガンマンの圧勝。将軍様による二連勝、ジャンクマンのまさかの勝利で「案外始祖って弱いんじゃないの」と思っていた私の予想はあっさり覆された。
 今思うとこの戦い、というかガンマンの登場は完璧超人始祖編においてひとつのターニングポイントになっていたと思う。負け続きだった始祖の強さをきっちり示し、始祖にも色んな奴がいて、閻魔に対するスタンスは様々だ、ということを示したという辺りで。
 なおガンマンといえばやはり初登場ではコミカルな姿で登場したけれど、次の回では別人のような外見に変わっていたという「変身」騒動が外せない。しかも「私は変身などしなーい」なんて言っちゃってるからね。してるじゃねーか!とツッコんだ人も多いと思う。
 この騒動自体に関してはまあ「ご愛敬」で済ませていい話だとは思うけど、単行本では登場回のガンマンもすべて現デザインになってるんで、あのガンマンはWeb連載を追っていた者だけの特典となってしまった。
 私は現在、漫画雑誌はモーニング、ウルトラジャンプまんがタイムきららMAXくらいしか毎号は読んでおらず、単行本だけしか読んでない漫画も多いんですが、こういう連載を追っていないと出会えない「事件」を目の当たりにするとやはり漫画は連載で読まんとダメだなと思う。

第3位:ウォーズマンvsポーラマン

 前半と後半の盛り上がりの落差ではこの試合が一番スゴイと思う。最序盤は師を失ったウォーズマンがポーラマンを果敢に攻め立て、良い試合を見せてくれるかな……と思った途端にウォーズポンコツ化→スクラップ寸前までボコられる展開にはゆでの野郎、ウォーズマンを活躍させる気はないのか!と憤りを感じたものです。
 ロビンの言葉を思い出して反撃を開始しても相手の関節を全部潰してギブアップを狙うという作戦で「いや、それ完璧超人には絶対通用しないでしょ」と読者全員が思ったはずでなんともモヤモヤする展開が続いたんですが、ウォーズマンが完全に殺されかけた時に奇跡は起こった!
 旧肉ではスグル、ロビン以外がウォーズマンについて言及するシーンは少なかったんですが、この試合ではテリー、ブロッケン、そしてかつての名試合の相手ラーメンマンまでもがウォーズマンへの評価を語っていくところがすごく良かった。
 皆の友情パワーでウォーズマン再起動、スーパー友情モード覚醒という展開は最高だったし、パロスペシャルを極めた後でマスクを剥がされながらも、素顔を気にせずポーラマンにとどめを刺すところはこれが俺たちの見たかったウォーズマンなんだ!って思いましたね。ポーラマンの言った「前半はクソつまんねーヤツだと思っていたがラスト5分はなかなか楽しい勝負だったぜ……」というセリフに頷いた人も多いだろう。
 そんなわけでとても良い試合で満足したんだけど、その一方で「ゆで先生、本当にウォーズマン動かすのは大変なんだな……」と思ったのも事実。次シリーズ(あるかわからんが)でウォーズマンの再活躍があることを期待しています!

第2位:ロビンマスクvsネメシス

 ネメシスの試合はどれも良かったけど、一番よかったのはやはりこの試合。この頃のネメシスはキン肉族との関係は匂わせる程度でルックス的に特殊能力がない分どう戦うんだろう、という不安があったけど蓋を開けたら驚くほど技の引き出しがあって、それだけの技をバンバン出せるゆで先生は本当にスゴイと思ったものです。
 そんな強豪ネメシスに対しやはり多彩な技で対抗する正義超人のリーダー、ロビンマスクロビンスペシャルにアイスロックジャイロ、さらに新型タワーブリッジ、あげくには二世のケビンマスクの必殺技ビッグベンエッジの原型らしき技まで登場、と必殺技披露合戦のような趣がありました。
 スグルに対する思いを熱く語り、ロビンが正義超人LOVEぶりを見せつけるところも熱くて良かった。今シリーズは正直なところ正義超人の影が薄いシリーズだったんだけど、この試合は正義超人ならではの試合というものを見せつけてくれたと思う。

第1位:シルバーマンvsサイコマン

 ベスト5までに入れる試合はすごく悩んだが、1位だけは迷わなかった。なお、肉vsネメシス、将軍vs武道戦がベスト5に入ってないのはあえて入れてないというかバラエティに富んだベスト5にしたかったので大物対決枠からはこの一戦を入れて他の試合を選んだという感じです。
 道化めいた風貌に何を企んでいるかわからない怪しいヤツ、という今までのキン肉マンにいなかったタイプのキャラ、グリムリパー。コイツは何かあるだろうと思っていた人も多く、実際に完璧超人始祖サイコマンだった、ということになりました。
 余談ですがサイコマンへの名前変更を「おいグリムリパー」→「サイコマンです」のやり取りだけで読者に納得させてしまったゆで先生はやはり天才。
 一方のシルバーマンも黄金のマスク編に登場してはいたものの時々アドバイスをしたくらいで実質今シリーズ初登場のような存在でありながら、登場前に「虐殺王」と不穏なイメージを植え付けてインパクトを与えることに成功し、登場してからは正義超人の祖にふさわしいキャラでありながら虐殺王としての側面も持つ存在として、始祖編を代表する名キャラに育てあげられたのは本当にスゴイ。
 試合自体はマグネットパワー攻略がメインで他の試合の方が面白かったんじゃ……、と思う節もあるんですが、サイコマンとシルバーマンのセリフの応酬がキレッキレ過ぎてそんなことは気にならないレベル。
 特にサイコマンが拾式奥義をかけた時の「これが夢なら私は永遠に眠り続けましょう」あたりからのやり取りはコレ本当にキン肉マンなのか?と思ったくらいクラクラしたものです。
 互いを認め合いながらも、正義超人になりきれず完璧超人であり続けた虐殺王シルバーマン、道化を装いながらも誰よりも情深く正義超人の資質を持っていたサイコマン。ザ・マンが示した道に最も近づきながらも互いを認め合っていたがために破局しか迎えられなかった。そんなシチュエーションがキン肉マンで読めるとは思わなかったよ。
 新キン肉マンは悪魔超人がメインになって活躍、というある意味続編ものだからこそ出来る奇策から始まり、悪魔超人軍の活躍メインのシリーズだったけれど、始祖編になってからはレギュラー陣に負けない始祖の魅力的なキャラクター性がメインになっていたけれど、その辺りを突き詰めたのがこのシルバーマンvsサイコマン戦だったのではないかと思います。