読切傑作選2011−2014

を買いました。
念のため言っておくとキン肉マンの最近描かれた読み切り作品を収録した短編集ですよ。表紙には読み切り作品に登場する超人たちの集合図が描かれてるんですがベンキマンの場違い感とラーメンマンの取ってつけた感がすごいな。
以下、収録作品の簡単な紹介と感想。
■奇跡の救世主伝説の巻
グランドジャンププレミアム創刊号に掲載された読み切り作品。内容は謎の星クッピン星から助けを求めにきた声に応え、キン肉マンテリーマンが悪党超人タイラント退治に向かう……という連載初期のテイストのオーソドックスな内容。今読むと悪くない内容だと思うけど、これが掲載された時は「キン肉マンがあの超人とタッグを……!?」みたいな嘘予告のせいでかなり評判が悪かった。内容自体は王道だけど、過去の超人募集で採用されたものの出番がなかった超人たちが登場していたり、クッピン星の守護神の正体が完璧超人始祖のあいつだったりと肉ファン的な見どころは多い。
キン肉マン外伝ベンキマン〜失われたインカの記憶〜
人気投票企画「超人総選挙2013」で29位になった超人を主人公にした読切作品を描くという企画で生まれた作品。ベンキマンを主役にした作品ということでコミカルな作風が予想されたが、実際に執筆された作品はクソ真面目にベンキマンをヒーローとして描いた作品だった。しかし内容はツッコミどころ満載、かつ作品内にツッコミ役はいないので読者自身がツッコミを入れまくっていくしかないのだ。本当に面白いギャグ漫画を描くには作者が笑っているところを見せてはいけない、という真実を教えてくれる作品。この短編集の中では一番面白いと思う。必読。
■ザ・マシンガンズ空白の三日間(前篇)(後編)
キン肉マン二世究極の超人タッグ編が連載終了された後にウェブ掲載された作品だそうですが、当時私は読んでいません。というか究極の超人タッグ編を読むことを放棄してしまったのでこれが掲載されたことすら知らなかった。
内容はザ・マシンガンズ結成の際、片足を失い渋るテリーをいかにしてキン肉マンが説得したか?を描いたお話。イイ話ではあるものの当時これを読んでも究極タッグ編への失望が深すぎて「ふーん、また旧キン肉マンやるの?二世がダメになった後は旧作まで地の底に貶めるのかよ」とか思っていたと思います。まさかあそこまで面白いキン肉マンが復活するとは当時予想していた人はいるのだろうか。あ、それとキン肉マンシリーズがウェブ連載に移ったのは新キン肉マンからではなく、究極の超人タッグ編の末期からだということは覚えておいたほうがいいと思います。
■超人血盟軍、結成秘話
ジャンプSQ創刊6周年にちなんで超人総選挙2013で六位に輝いたアシュラマンを主役にした作品、ではあるものの事実上ソルジャーチームの5人全員が主人公という感じの作品。「なんて的確な判断力なんだ!」と感心した四人組とソルジャーの間にはあの後一悶着あったのです。今読み返してもソルジャーの名台詞は滑っていたような気がする。
ラーメンマンとブロッケンJr〜恩讐の彼方に
今回の短編集のために描き下ろされた作品。超人オリンピックで戦ったラーメンマンとブロッケンJr。ラーメンマンに敗れ「オヤジのことはわすれろ」と言われたブロッケンJrはあの後一悶着起こしたのでした……、という内容なんだけど、マシンガンズ空白の三日間、超人血盟軍結成秘話、そしてこの読み切りといいどのエピソードも「進行上、あえてカットしたエピソード」ばかりで正直蛇足感が強い気がしてなりません。ブロッケンJrが何故ラーメンマンを師とあおぎ尊敬するようになったか、漫画本編では確かに説明不足ではあったけど、「オヤジのことは忘れろ」という言葉について考え思うところがあったんだろうな、と想像することは出来たわけで敗北した後もわざわざラーメンマンにつっかかるブロッケンJrとか今さら見たいとは思わなかった。
 ただ現在進行中の本編では悪魔超人の活躍がメインで、かつ正義超人はロビン、ウォーズの二人は十分以上の活躍が出来たのに対し、ラーメンマン、ブロッケンJrの二人はやや不完全燃焼気味だったので、この読み切りで見せ場を作ることでバランスを取ったのかな、という気はします。

そんなわけで駆け足で内容を紹介してきましたが、本編と比べると正直イマイチ……、というか蛇足みたいな話が多かったとは思いますが、ベンキマンの話は面白かったし、また読み切りをやる機会があったら本筋の補完みたいな内容ではなく超人のキャラに焦点を当てた内容なら面白い物ができるんじゃないかな、と思います。ウルフマンの海外巡業とかジェロニモvsジェシーメイビアとか本編の流れとは関係ない話なんかはかなり読んでみたいし話的にも盛り上がると思う。