あの超人は何故パッとしなかったのか

 キン肉マンの更新がないと更新しないブログですがたまには本編の感想以外の話も。キン肉マンには多くの仲間がいて魅力的な活躍を見せてくれました。しかし、中には仲間になったけどパッとしなかったキャラもちらほら……、ということでそんなキャラたちが何故活躍できなかったのか色々書いてみました。

ウルフマン:
 相撲取りだから。プロレス的な戦いの中に相撲取りを放り込むのはさすがに無理があった。プロレス技で戦う集団の中にひとり違った技で戦うというキャラというのは美味しい立ち位置ではあるんだけど下手すりゃ数秒で決着がついちゃう相撲では動かしようがなかったのだろう。敵に投げられたら負けというのも苦しすぎるし。
 あと妄想だけど、超人オリンピック・ザ・ビッグファイト決勝トーナメントでウルフマンとペンタゴンの位置が入れ替わっていたらキン肉マンの歴史は大きく変わっていたと思う。
 ウルフマンは単なるウォーズマンの噛ませとして消え、ペンタゴンは空中殺法の使い手としてアイドル超人入りして独自の立ち位置を築いていたのでは……と思うけど歴史にIFはないのだ。
ウォーズマン
 上位互換的な立ち位置のバッファローマンが現れたから。超人オリンピック準優勝でアイドル超人では最強の強豪という立ち位置だったが、悪魔超人で1000万パワーというインパクトのあるバッファローマンの前ではそんな立ち位置は霞んでしまう。なまじ強いという設定があったがためにバッファローマン戦では噛ませ犬にされ、強豪という立ち位置も奪われてしまった。そして噛ませ犬という立ち位置が初代キン肉マン連載終了まで定着することになったのです……。あとこの人の場合機械超人という属性も思いっきりマイナス方向にばかり働いてますよね。
ジェロニモ
キャラがブロッケンJrと被っていたから。サンシャイン戦では人間なのに超人以上の闘志を持っているという独自のキャラを持っていたけど、超人になってからはその独自性はなくなり「やる気はあるけど未熟な若手」という完全にブロッケンと被る立ち位置になってしまった。しかもデビュー戦では「やる気がある」ところより「未熟」なところばかりがクローズアップされる始末、あげくには子供とか医者といった一般人に暴力を振るう性格の悪さまでも明かされてしまった。こんな奴に人気が出るはずがない。
アシュラマン
 サタンクロスのせい。立ち位置的にはバッファローマンの上位互換で、バッファローみたいに悪魔を捨てていないけど、正義とも共闘するというポジションで活躍できたような気がする。バッファがピッコロだとするとアシュラマンベジータみたいな違いのあるキャラとしてね。しかし、ベビーフェイス転向後初の対戦相手サタンクロスが問題のありすぎるキャラだったためにアシュラマンの人生は大きく狂った。
 知っての通りサタンクロスの正体はかつてのアシュラマンの家庭教師サムソンティーチャーである。彼は幼き日のアシュラマンに人を愛することの大切さを説き、川で溺れたアシュラマンを自らの命を引き換えにして救った恩人だった。しかしサムソンは実は生きており、アシュラマンの命を救った代償に両足を失ってしまった。そして足を失ったサムソンは自らの行為を後悔し知性の神の手先となってしまったのです……。美談台無し。
 アシュラマンは動揺しながらもサタンクロスと戦い、引き分けに持ち込むがかつての恩師の心を取り戻すことはできなかった。アシュラマンとサタンクロスの真の決着は決勝のキン肉マンとサタンクロス戦にまで持ち越されることになるが、この試合がキン肉マン史上ワーストと言っていい酷い試合。魔法陣に隠されたディフェンドスーツという防具を取り出し装着して戦うというギミック頼みの戦いの上、ディフェンドスーツを取り出すためのルールは毎週コロコロと変わる。そしてフェニックスチームは完全に反則レベルの卑怯な行為をして読者の心を萎えさせるのでした。そんな中、アシュラマンキン肉マンをフォローすべく試合会場に現れサムソンに誇り高い格闘技者の心を取り戻してくれと訴え、サムソンは誇りを取り戻し、試合会場に乱入し死にかけたミートを救出する。しかし、この行為がきっかけになりサムソンは敗北してしまうのだ。とはいえキン肉マンはサムソンの意気に応え寄生虫だけを殺しサムソンの命を救い彼を称えた。
これで終われば割といい話にも見えるのだが、この話には続きがある。キン肉マンチームは次鋒戦の会場に辿り着くために大阪城地下の迷路を抜け「血縄縛りの門」に挑むことになる。しかしこの門はサムソンの命を奪わなかったキン肉マンを勇敢な超人と認めず通ることを拒んだ。このままではタイムリミットは迫りキン肉マンたちは地下に仕掛けられた罠に潰されて死んでしまう。そこにアシュラマンが現れ自らの命を捨ててキン肉マンの鎧を血で染める。こうしてキン肉マンチームは次鋒戦の会場に辿り着くのだが、この展開は事実上友情パワーの敗北というべき展開ではないだろうか。正義の心ゆえにサムソンは敗北、キン肉マンは罠にかかりアシュラマンは命を捨てざるを得なかったのだ。
そしてアシュラマンキン肉マン二世で悪役として復活するが、正義の道を歩んだ彼にはサムソンの悲劇以上に酷い運命が待ち受けていたのだった……。
ネプチューンマン
 この人に関してはそもそも最初からいらない子だったんでは、と思う。かつての敵が友情パワーに魅せられて仲間に!という展開にはさすがに読者も飽きてたと思うしキン肉マンの仲間自体もだいぶ増えててネプチューンマンが座る椅子は既になかったような気がする。何よりこいつの加入前にはキン肉マンソルジャーという魅力的なキャラクターが現れてしまっている。今更ネプチューン出てきてもなあ、というのが連載当時の私の正直な気持ちだった。それでも影でスグルたちをサポートしていた頃には存在感があったものの、いざ姿を現すと何故か意味のないサムライの変装をしていたり、大した活躍もせず縄責め蝋燭責めをされたあげくにあっさり消滅という末路には一体何しにきたんだ、と思わざるを得なかった。