ネメシスの最期!?

 キン肉マン史上においてネプチューンマンほど毀誉褒貶の揺れ動いた超人は他にはいないのではないだろうか。
 ロビン&ウォーズマン、さらにはバッファローマンモンゴルマンという正義超人屈指の実力者たちに圧勝するという超強豪ヒールとして登場し、最後には自らの命を捨てて完璧超人本体を追い払い男を見せた夢の超人タッグ編での大活躍。
 王位争奪戦編ではキン肉マンチームをサポートする謎の(正体バレバレだけど)助っ人として登場。キン肉アタルの遺灰と共にキン肉マンチームを影からサポートしフェニックスチーム打倒へのアドバイスを送る姿はリング外でも頼りになる男ぶりを見せつけリングに上がった時の活躍を期待させるものだった。
 しかし実際に登場が近づくと何故か「サムライ」とかいう意味のない変装で現れジェロニモをあまり意味なく見殺しにする体たらくぶりだったし、ネプチューンマンの正体を現してからはオメガマンにそこそこ善戦したもののスーパーフェニックスに亀甲しばりにされて、途中からは出番なしという中途半端な活躍に終わってしまった。だが、彼が発したネプチューンメッセージによって多くの超人を動かした、ということは忘れてはならないだろう。
 時は流れキン肉マン二世の時代。かつての正義超人たちが次々に登場する中、タイトルを改めた究極の超人タッグ編においてついに姿を現したネプチューンマン。王位争奪戦編では活躍できなかったけれど、タッグ編ならきっと活躍してくれる。そう思ったネプチューンマンファンも多かったことだろう。
 しかし正義超人の助っ人になるかと思われたネプチューンマンはまさかの悪役へと転向。正義超人たちに檄を飛ばすためのフリではないか、という予想もあったものの正義超人の顔を剥ぎ取る、という蛮行を行い、完全な悪党キャラになってしまっていた。
 かつて仲間だったキャラが悪役として復活、という展開は前シリーズのアシュラマンでやっていて成功を収めていたから、ネプチューンマンもこの路線で……という目論見があっただろうことは想像に難くない。アシュラマンネプチューンマンも敵として出てきた時はすごい強敵感があったけど、味方になったら全然パッとしなかったからこの判断自体はわかる。
 けれどアシュラマンの方は何か深い事情があって悪の道に戻ったことが再登場時まもなくから示唆されていたし、事実悪の道に走ってしまった息子を自らの手で殺める羽目になり、自らも再び悪として生きることを決意したという悲しすぎる理由があった。
 一方のネプチューンマンにもそういう事情があるのかと思いきや……、なんか年食って淋しかったぐらいの理由で再び悪に舞い戻ってしまったという耄碌ぶりだったし、悪党として最後を迎えることもなく、万太郎のパートナーであるカオスを犠牲にして涙ながらに改心しながらフェードアウトという読者としては老害死ねとしか言いようのない退場をかましたのだった。
 
 ここまでくるとネプチューンマンはもう出さないほうがいい、というのがある意味正しい判断だろう。けれどゆではネプチューンマンを出した。かつてのカッコよかった完璧超人ネプチューンマンとして。
 タッグ編から登場したネプチューンマンは実はシングルマッチではあまり華のない超人だ。最大の必殺技クロスボンバーはタッグ技だし、ダブルレッグスープレックスは決め技として強力なだけに出しにくいし、もう一つの必殺技喧嘩スペシャルはそもそもカッコ悪い。
 そんなネプチューンマンが輝ける場所はリング上での試合ではない。彼が輝くのはリング外での仲間のサポート、そしてリング上でメッセージを飛ばすときだ。
 リングに上がるのを恐れたキン肉マンをサポートし、そして今回超人閻魔や観客たちに完璧超人の進むべき道をアピールしたネプチューンマン。試合はないもののかつてのカッコイイネプチューンマンはこれで完全復活したといっていいのではないだろうか。というか試合をやるとボロが出るんでネプチューンマンはこのままサポート役として大活躍してほしい。