地獄の九所封じ!!

 今回、話のタイトルからしてわくわくせざるを得ない。
 武道の圧倒的なパワーに押され気味な将軍様。けれど、「貴様の時は止まっている。私は時を動かすために再び現れたのだ」と見栄を切るところは超かっこいい。それに対して自分が真の完璧だと主張する武道さんは老害感丸出しだけどやはりかっこいい。
 しかしこの二人の関係は将軍がかつての武道に憧れていて、武道のような存在を目指していて、かつ武道のためにこの戦いに参戦したというあたりけっこうホモ臭い感じがする。
 一方シルバーマンとサイコマンに関してはホモ臭いとは思わず「百合」と思ったんだけどこの辺の違いはシルバーxサイコは互いに惹かれ合いながらも自分の在り方は意地でも変えようとせず自分の中の理想に固執してたとか、その辺りにあるんでしょうか。自分としては相手の目を覚まさせるためにあえて同じ道を進みつつ壁として立ち塞がる、という要素があるとホモ臭く感じる気がする。ピンポンのペコxマイルとか逆転裁判成歩堂x御剣とかああいう感じの関係性。
 シルバーマンとサイコマンの場合、お互い相手のため、というよりは自分を相手に認めさせるための戦いって感じがあってその辺で百合を感じたんだろうか。単にサイコマンが男だけどサイコレズってキャラだっただけかもしれんけど。
 それはさておき武道の戦いぶりにビビる悪魔サイドの解説役二人。けれど将軍様は私の背中はそんなに小さいか、と余裕を見せ、解説二人は「さすがですわ将軍様」と将軍様を称えるのでした。この辺りの振る舞いはかっこいいけれど、それもまた武道由来のものと考えるとちょっと複雑な感じはしますね。
 武道の猛攻に対しついに必殺技「地獄の九所封じ」を繰り出し武道に一矢報いる将軍様。やはり必殺技が出てくると盛り上がる。アビスマンを倒したこの技ですが、第一弾大雪山落としは決まったものの二弾目の両腕を狙ったスピンダブルアームソルトは防がれ、あげくに返し技としてこの技で武道に返されてしまいました。
 さらにはダブルニークラッシャーで両足を破壊される将軍様。旧肉ではこの手の技を何度食らおうが特殊ボディでほとんどダメージが入らなかったけど、いちおうアビスマンに硬度調節機能破壊されてるしきっちりダメージになってるんでしょうか。
 圧倒的な力を見せ「弟子は師匠を超えられない」アピールに余念のない武道さん。地獄の九所封じ6と7を省いて8番目の「握手」を繰り出してきました。握手によって超人パワーを吸い取られる将軍様。少ない出番にスグルも技解説に余念がありません。
 優勢になって「お前は俺の弟子だ」アピールを繰り返す武道さんですが、なんかしゃべればしゃべるほどホモ臭く見えてくるのは私の気のせいだろうか。次回、武道さんが掟破りの地獄の断頭台を使ったりするのか気になるところですが、来週の更新はない!

頂上決戦、開幕!

 武道vs将軍戦はじまった。
 大物対決の序盤戦だけにあまり動きのない展開になるかと思いきや、初っ端から一気呵成の攻めを見せる将軍様。お約束である審判のロックアップをやって互いの実力を確かめ合い、色々語り合って一話終了くらいの展開になるかと思っていたら、なんと将軍様はロックアップを拒否。武道を倒すには矢継ぎ早の攻撃を仕掛けてひたすらスタミナを削るのみ、と悪魔ならでは正攻法で魅せてくれた。
 将軍の攻撃が一通り終わると今度は武道のターンとばかりにガンガン攻撃が入っていくあたりはまさにプロレス、といった感じですが武道の攻撃も将軍に有効打を与えるには至らずと今のところ互角の戦いが展開されることに。
 将軍が武道にひたすら攻撃してスタミナを削り切ってやる、といったのに対し、武道側は百の理解を超える千の破壊の拳を与えようぞ、とお互いひたすら攻撃を仕掛けまくって潰す宣言をかましている辺りは似た者同士の対決というのがすごく出ているなあと感じた。
 こういう展開になると決着は弟子が師を超えて終了、というのが美しいラストではあるけれど将軍が勝利してもそれは始祖の一人が師である超人閻魔を超えたというだけで現代の超人が閻魔や始祖の認める成熟に達したとはいえないわけで、その辺どうなるのかは気になるところ。
 一方、前回正義超人側の解説役が二人リストラされましたが、今回は悪魔超人サイドのサンシャイン&バッファローマンがコメンテーターとして活躍。かつて二人が戦った始祖ガンマンとシングマン。過剰ともいえる閻魔への崇拝を口に出していた始祖二人でしたが、将軍と閻魔の戦いを見ていると彼らのそんな態度も不思議と思えない、と悪魔コンビは語るのでした。
 ガンマンのド迫力パワー、シングマンの絶対的な防御力。どちらもスゴかったけど閻魔の力はそれを上回っている。つまり閻魔はひとりひとりの始祖を上回る力を持っているというのかー!!とスグルが叫んで今回は終了。
 悪魔将軍が悪魔六騎士を総合力で上回っている、というかつてのネタを今回は閻魔様でやったという感じの展開ですが、スペック的にはやはり閻魔が将軍を上回っているということでいいんでしょうか。となると将軍が閻魔に勝つには六騎士たちがやったような邪道技しかない気がするんですが、キン肉マン戦で見せたウナギボディとか使って閻魔を翻弄してほしい。
 しかしキン肉マンvs将軍戦を読み返すとなんで悪魔将軍ってここまで大物扱いされるようになったんだろう……、って気になりますよね。正攻法では倒せなかったというのが大きいんだろうか。
 

竹刀が導きし戦い…!!

 サブタイトルが卑怯。見た瞬間笑うよこんなの。まあ内容はタイトル通りなんだけど。
 エアーズロックに到着しリング(および観客席と謎モニタ)の設営を終えた武道さんと将軍様。リングはどこにでも現れるし観客席も当然セットで付いてくる。そしてテレビ電話的に使える謎モニタ。この技術は私が生きているうちにぜひ実現させてほしい。
 そして空中に竹刀をブン投げ竹刀の先に太陽がかかった時を試合開始の時刻にしようとする武道さん。太陽が〇〇にかかった時に開始というのは決闘のお約束だけどなぜ竹刀にこだわるのか。
 ちなみに前回ミート君が言い出したグロロ→ウルル起源説は二人が普通にウルルと言っていたことであっさり否定されました。ミート君は二世では正義超人に欠かせない参謀、みたいな扱いでしたが今のキン肉マンだと割とポンコツですよね。スグルvsピークァブー戦では本当に役に立ってなかったし。マスコットキャラとしてもあんまりかわいくないしミートの明日はどっちだ。
 そんなミートよりひどい扱いなのはウォーズマンテリーマンキン肉マン&ミートはエアーズロックで観戦に向かうものの正義超人の重鎮二人はなんと甲子園待機に。もう試合なさそうなのはわかってたけど試合会場にも行けないとは……。あえて甲子園に残したことで特別な出番が何かしらあることを信じたい。
 ちなみに完璧超人三バカトリオとサンシャイン&バッファローマンの悪魔重鎮コンビは会場入りしています。三バカの方は驚き役なり解説をやってもらえばいいとして私が期待してるのはサンシャインの使いどころ。将軍との縁でいえばサンちゃんがおそらく一番深いだろうしシングマン戦で見せたふてぶてしい悪魔の一面だけでなく二世サンシャインのようなウェットな一面を将軍様との掛け合いで見せてほしいところ。バッファローマンはさすがにこのシリーズでちょっと目立ちすぎなので少しおとなしくしていてほしい。でもコイツも将軍との関係は深いわけで出ずっぱりにはなると思うけど。
 なお試合の裁定は例によってハラボテ&ノックが務める模様。ここで裁きの神ジャスティス再臨あるかと思ったけどなかった。
 そしてついに試合開始、というところで今回は終了しましたが、この試合が今シリーズの最終決戦になるのか、それともスグルvs超人閻魔戦があるのか。あるいは超人の神とかサタンといった新勢力乱入で新シリーズ突入があるのか。
 個人的にはシリーズの〆は主人公が飾るほうが好きなんだけど、もう今回のキン肉マンに関しては将軍vs武道で終わってもいいか、という気はしている。今シリーズの主役は実質悪魔超人だし。

舞台は世界遺産!

 エアーズロックは元々山だったけど武道と将軍さまのスパーリングで削られて岩になったとか現地での呼び方ウルルは武道の唸り声グルルが語源だったりと今回は新年一発目にふさわしいめでたい内容でしたね。あんまりのことにウォーズマンもコーホーとしかいえず私も今日まで更新できなかった。
 前半武道がネメシスたちに言葉をかける様子はけっこういい感じだったのにグロロがすべてをもっていってしまった。
 ゆで先生は2017年もきっと天才ぶりを見せつけてくれる。

来年のこと

 来年もまたキン肉マン感想だけを書くと思うけど、さすがに来年中にキン肉マンの今のシリーズは終わるだろうし、そうなったらおそらくキン肉マン自体も一旦終わるだろうし、そうなったらこのブログも終了ということになると思います。
 今やってるシリーズが終わってもキン肉マン自体は続くだろうし、単発で読み切りなんかはやるだろうからその辺の感想は書いていこうとは思ってはいるんですが。
 キン肉マンの各超人にスポットをあてた読み切りシリーズはベンキマンの話で見事にフォーマットが出来上がったなと思う。その超人の出身国の歴史から使えそうなエピソードを引っ張ってきて悪党超人と戦うバックボーンにするというスタイルはベンキマン、ウルフマン、カレクックと三本の読み切りに共通している(ウルフマンの場合は日本、というか角界ネタだけど)し。57巻のコメントによれば中井先生はティーバックマン主役の読み切りがやりたいって書いてあるし、次はスリランカの国辱ネタが描かれることになるのであろう。
 しかしキン肉マンの各超人にスポットをあてる読み切りは超人人気総選挙の企画からはじまったわけだけど、ベンキマンが投票で29位になったからこそ国辱ネタを盛り込むスタイルが定着したわけでオメガマンとかサタンクロスといった出身国もクソもない宇宙とか魔界の生き物が29位になっていたら読み切りシリーズは今の本編にノリに近い外伝になっていたのかな、という気がします。
 まとまらないですがこれで今年の更新は終わり。

あの日の約束…!

 百合漫画では王子と姫、みたいなカップリングが好きです。
 天然で虐殺王な王子様シルバーマンとちょっと腹黒で皮肉屋だけど一途なお姫様サイコマンの戦いは今年のキン肉マンおよび百合漫画におけるベストバウトだと思うのですが、今回のキン肉マンではシルバーマンとサイコマンの関係についてちょっと気になるセリフがありました。
ゴールドマン「あれが頑なに否定するのは同族嫌悪に近いものだ 本当はやつこそが新たなる進化に最も近い始祖でありなおその可能性に 気付いてもいる にもかかわらずシルバーの影響かそれを恥ずべきものと感じている だから全力で否定し代替テーマとして“マグネットパワー”とかいうくだらん研究に没頭をはじめたのだ」

 かつて正義超人という新たな枠組みを模索し、キン肉族の開祖となったものの自分自身は正義超人という境地にたどり着けなかったシルバーマン。一方のサイコマンは超人閻魔の腹心として完璧超人のために動いてきた存在でしたが、今回の発言でサイコマン実は正義超人向き、というか新たな進化の可能性を秘めた超人だった説にお墨付きが与えられたというのが興味深いところです。この辺はシルバーマンもちらっと触れていたんですが、ゴールドマンまでもがサイコマンをそう評していたということで、もしサイコマンが感情のパワーを追求していたら新たな進化が完璧超人の内部で生まれていた可能性が高かったといえます。
 互いを慕い合っていたシルバーマンとサイコマン。けれどお互いに惹かれ合っていたが故に自分が惹かれていた部分に執着し、シルバーマンは自分には叶えられない正義超人の道を歩み、サイコマンはシルバーマンの影を追って今までの完璧超人の在り方に固執してしまった。さらにシルバーマンに去られたことで、ゴールドマンに去られた超人閻魔と爛れた関係になってしまったというのも生臭いところです。
 冒頭でシルバーマンは王子、サイコマンは姫と書きましたが、この二人の関係は実はリバーシブルというか逆転することでうまくいくものだったのではないかという気がします。
 けれどサイコマンが完璧超人を導き、シルバーマンを幸せにする。そんな未来は読者の妄想の中にしか存在しない。こうした儚さもまた百合の魅力のひとつではありますが、サイコマンとシルバーマンが得恋する未来を見てみたかった。そんな気持ちを抑えることができません。
 今回は悪魔将軍と超人閻魔の因縁トークとかダチョウ倶楽部みたいなポーズで閻魔を守る完璧超人三人衆とかについて書く予定だったのですが改めてシルバーマンvsサイコマンは百合、という話になってしまいました。
 それではよいお年を!

ネメシスの最期!?

 キン肉マン史上においてネプチューンマンほど毀誉褒貶の揺れ動いた超人は他にはいないのではないだろうか。
 ロビン&ウォーズマン、さらにはバッファローマンモンゴルマンという正義超人屈指の実力者たちに圧勝するという超強豪ヒールとして登場し、最後には自らの命を捨てて完璧超人本体を追い払い男を見せた夢の超人タッグ編での大活躍。
 王位争奪戦編ではキン肉マンチームをサポートする謎の(正体バレバレだけど)助っ人として登場。キン肉アタルの遺灰と共にキン肉マンチームを影からサポートしフェニックスチーム打倒へのアドバイスを送る姿はリング外でも頼りになる男ぶりを見せつけリングに上がった時の活躍を期待させるものだった。
 しかし実際に登場が近づくと何故か「サムライ」とかいう意味のない変装で現れジェロニモをあまり意味なく見殺しにする体たらくぶりだったし、ネプチューンマンの正体を現してからはオメガマンにそこそこ善戦したもののスーパーフェニックスに亀甲しばりにされて、途中からは出番なしという中途半端な活躍に終わってしまった。だが、彼が発したネプチューンメッセージによって多くの超人を動かした、ということは忘れてはならないだろう。
 時は流れキン肉マン二世の時代。かつての正義超人たちが次々に登場する中、タイトルを改めた究極の超人タッグ編においてついに姿を現したネプチューンマン。王位争奪戦編では活躍できなかったけれど、タッグ編ならきっと活躍してくれる。そう思ったネプチューンマンファンも多かったことだろう。
 しかし正義超人の助っ人になるかと思われたネプチューンマンはまさかの悪役へと転向。正義超人たちに檄を飛ばすためのフリではないか、という予想もあったものの正義超人の顔を剥ぎ取る、という蛮行を行い、完全な悪党キャラになってしまっていた。
 かつて仲間だったキャラが悪役として復活、という展開は前シリーズのアシュラマンでやっていて成功を収めていたから、ネプチューンマンもこの路線で……という目論見があっただろうことは想像に難くない。アシュラマンネプチューンマンも敵として出てきた時はすごい強敵感があったけど、味方になったら全然パッとしなかったからこの判断自体はわかる。
 けれどアシュラマンの方は何か深い事情があって悪の道に戻ったことが再登場時まもなくから示唆されていたし、事実悪の道に走ってしまった息子を自らの手で殺める羽目になり、自らも再び悪として生きることを決意したという悲しすぎる理由があった。
 一方のネプチューンマンにもそういう事情があるのかと思いきや……、なんか年食って淋しかったぐらいの理由で再び悪に舞い戻ってしまったという耄碌ぶりだったし、悪党として最後を迎えることもなく、万太郎のパートナーであるカオスを犠牲にして涙ながらに改心しながらフェードアウトという読者としては老害死ねとしか言いようのない退場をかましたのだった。
 
 ここまでくるとネプチューンマンはもう出さないほうがいい、というのがある意味正しい判断だろう。けれどゆではネプチューンマンを出した。かつてのカッコよかった完璧超人ネプチューンマンとして。
 タッグ編から登場したネプチューンマンは実はシングルマッチではあまり華のない超人だ。最大の必殺技クロスボンバーはタッグ技だし、ダブルレッグスープレックスは決め技として強力なだけに出しにくいし、もう一つの必殺技喧嘩スペシャルはそもそもカッコ悪い。
 そんなネプチューンマンが輝ける場所はリング上での試合ではない。彼が輝くのはリング外での仲間のサポート、そしてリング上でメッセージを飛ばすときだ。
 リングに上がるのを恐れたキン肉マンをサポートし、そして今回超人閻魔や観客たちに完璧超人の進むべき道をアピールしたネプチューンマン。試合はないもののかつてのカッコイイネプチューンマンはこれで完全復活したといっていいのではないだろうか。というか試合をやるとボロが出るんでネプチューンマンはこのままサポート役として大活躍してほしい。