あの日の約束…!

 百合漫画では王子と姫、みたいなカップリングが好きです。
 天然で虐殺王な王子様シルバーマンとちょっと腹黒で皮肉屋だけど一途なお姫様サイコマンの戦いは今年のキン肉マンおよび百合漫画におけるベストバウトだと思うのですが、今回のキン肉マンではシルバーマンとサイコマンの関係についてちょっと気になるセリフがありました。
ゴールドマン「あれが頑なに否定するのは同族嫌悪に近いものだ 本当はやつこそが新たなる進化に最も近い始祖でありなおその可能性に 気付いてもいる にもかかわらずシルバーの影響かそれを恥ずべきものと感じている だから全力で否定し代替テーマとして“マグネットパワー”とかいうくだらん研究に没頭をはじめたのだ」

 かつて正義超人という新たな枠組みを模索し、キン肉族の開祖となったものの自分自身は正義超人という境地にたどり着けなかったシルバーマン。一方のサイコマンは超人閻魔の腹心として完璧超人のために動いてきた存在でしたが、今回の発言でサイコマン実は正義超人向き、というか新たな進化の可能性を秘めた超人だった説にお墨付きが与えられたというのが興味深いところです。この辺はシルバーマンもちらっと触れていたんですが、ゴールドマンまでもがサイコマンをそう評していたということで、もしサイコマンが感情のパワーを追求していたら新たな進化が完璧超人の内部で生まれていた可能性が高かったといえます。
 互いを慕い合っていたシルバーマンとサイコマン。けれどお互いに惹かれ合っていたが故に自分が惹かれていた部分に執着し、シルバーマンは自分には叶えられない正義超人の道を歩み、サイコマンはシルバーマンの影を追って今までの完璧超人の在り方に固執してしまった。さらにシルバーマンに去られたことで、ゴールドマンに去られた超人閻魔と爛れた関係になってしまったというのも生臭いところです。
 冒頭でシルバーマンは王子、サイコマンは姫と書きましたが、この二人の関係は実はリバーシブルというか逆転することでうまくいくものだったのではないかという気がします。
 けれどサイコマンが完璧超人を導き、シルバーマンを幸せにする。そんな未来は読者の妄想の中にしか存在しない。こうした儚さもまた百合の魅力のひとつではありますが、サイコマンとシルバーマンが得恋する未来を見てみたかった。そんな気持ちを抑えることができません。
 今回は悪魔将軍と超人閻魔の因縁トークとかダチョウ倶楽部みたいなポーズで閻魔を守る完璧超人三人衆とかについて書く予定だったのですが改めてシルバーマンvsサイコマンは百合、という話になってしまいました。
 それではよいお年を!