愛と怒りの聖人

 カレクックの読み切りを読みました。全体的にシリアスな話なんだけど、いきなり頭にナンとか鳥の丸焼きを頭に乗せた男たちが出る辺り、さすがゆで先生。
 カレクックという超人の一番のツッコミどころは「なぜ頭にカレーを乗っけてるのか?」というところだと思いますが、この人実は頭に「花冠」を乗せて戦う「頭載格闘術」の使い手だったのでした。
 キン肉マンでは割と唐突に超人の本名が明かされたりしますが、カレクックも元は「シン」と呼ばれる青年だったことが明かされます。師のもとで修行する彼は才能はあるものの感情のコントロールがまだ未熟だとされ「花冠」を抱くことを許されていませんでした。
 師匠はシンに一年間怒りを我慢しろ、そうすれば伝承者として認めようと言う一方で、もし勝手に頭に何かを載せて戦ったら、特に怒りの象徴である「アレ」を頭に載せたら破門だ、と思いっきり死亡フラグをたてるのでした。押すなよ、絶対押すなよ!
 そして時は流れ、あとわずかで師匠との約束の一年が終わるという日にシンは辺境の町を訪れ、そこでカレーショップを営む美女ミーナと出会うのでした。と、なればこの女のためにシンは師匠との約束を破ることになるんだろうな……と誰もが思うでしょうが、実際そうなります。町には大英帝国インド超人総督の末裔を名乗るケンブリッジマンという悪党がいて人々にたかったり暴力をふるったりしていたのでした。イギリス超人碌な奴いないな。
 シンはケンブリッジの横暴に対し抵抗しようとしますが、師匠との約束を思い出し戦うことなく敗北、「無抵抗主義というわけか!」とディスられます。今回の話さらっとイギリスとインドにケンカ売ってる国辱ネタが多いですよね。
 ボロボロになったシンはミーナに助けられたものの、そのミーナは大麻の不法所持をでっちあげられ、これを口実にケンブリッジマンは市場の乗っ取りを宣言するのでした。
 ミーナを救うためには戦わなければいけない。けれど怒れば破門される。そんなジレンマに悩むシンは目の前に置かれたカレーライスを見て戦いを決意し、カレーライスを頭に載せるのでした。
 怒りの象徴、というゆで設定を冠されたカレーライスによってシンは圧倒的な力で雑魚敵を一蹴、そしてケンブリッジマンをもカレー目潰し「ガラムマサラサミング」で牽制し、まさかのカッコいい必殺キック「チャルカスティング」でブチ殺すのでした。
 シンの活躍で平和は戻ったものの残虐ファイトを見てミーナはどん引き、シンは格闘術の伝承者の資格を失い頭にカレーを載せた外道カレクックとして生きることを決意した……、といっても人々からカレクックと呼ばれて名乗るのを決意したとかじゃなく自分で名乗るあたりはどうかと思いました。
 しかし、本編では完璧超人は自害の掟によって多くの人材を失ったと言われてますが、正義超人もアホな師匠が弟子に呪いをかけることで相当に人材潰しをやってるんでは、と思いました。カレクックの状況に置かれたら正義超人として、戦わないという選択肢はないわけだし。二世のヒカルドの件とか完全に出自差別だったしな。