悲しき肉のカーテン!!

 肉のカーテン誕生秘話って旧肉で単なる伝説を語る昔話として一コマで流されてるような話なのに、それをここまで膨らませられるのはスゴイと思った。今のゆで先生ならいずれ「大魔王サタン」の話もきれいに本筋に組み入れてくれるのではないか。
 というわけで今回のキン肉マンはサダハルが肉のカーテンを開発した裏には悲しい歴史があったというお話。肉のカーテンの誕生秘話自体はキン肉マンvsウォーズマン戦で真弓の口から「敵の手に落ちたタツノリが拷問にかけられながらも鉄壁のガードを開発して三日三晩耐え抜いた」と語られていたんだけど、具体的にどんな敵と戦っていたのかとかどういう状況で敵に捕まったのかなんてことはスルーされていました。そもそも読者としてもそんなことは気にしてなかったんだけど、タツノリがなぜ三日三晩孤立無援の状況で耐えなければいけなかったのか疑問に思わなかったのかと突っ込むネメシス。
 ネメシスの言葉に対した「助けはこなかった」とキン肉星の王であるタツノリがあえて放置されていたと衝撃の事実を告白する真弓。民衆の暮らしのため改革を行ってきたタツノリは利権をむさぼっていた王宮内の勢力から疎まれ命を狙われ続けていたのでした。
 肉のカーテンで三日三晩をしのいだ事件も表向きは敵軍との闘いということになっているもののその手引きをしたのは王宮の裏切り者たちだった。かつて王子として事件に巻き込まれた真弓は自分の「護衛」についた兵士たちの態度からその事実を悟っていた。
 出オチみたいなデザインの超人たちにボコられながらも肉のカーテンで拷問に耐え、襲撃者たちを根負けさせたタツノリは脱出に成功した……というのが肉のカーテン誕生秘話の真実だったのです。
 この事件に対して「慈悲の心」ゆえにタツノリはこんな事件に巻き込まれたのだと怒りをあらわにするネメシスに対し、慈悲の心を貫いたからこそタツノリは人々の心を動かし王家の改革に成功できたのだ、と真弓は反論。それでもネメシスは慈悲の心は「甘さ」に過ぎず愚かな凡人たちは愚かなままだと主張するのでした。
 この辺のやりとりはあくまで人を信じて行動していく正義超人と己だけを信じる完璧超人の在り方を現していていいですね。
 権力に群がる凡夫による醜い騒動をなくすためにはキン肉族そのものを解体するしかない、とネメシスは力説しスグルと真弓に完璧超人として超人閻魔の統率する世界で力を振るわないかと勧誘するのでした。
 スグルはともかく真弓は誘わなくても……と思うけど、この辺はタツノリの子である真弓に対するネメシスの慈悲だったりするんでしょうか。スグルたちがネメシスに当然反論するんだろうけど、そこでどういう理屈をつけてくるのかが楽しみ。
 今回は試合の進まない過去話回とはいえ面白かったけど、せっかくウォーズマンが破った肉のカーテンの話なんだし、ウォーズマンに発言の機会があっても良かったのではないか、と思いました。というか今回画面にキン肉族の連中とハラボテしか登場してない。