エロエ・ポプラ

 ベンキマンの読み切りを読んだので更新を再開します。
 ストーリー的には記憶を失った超人がレスラーとして漫然と日々を過ごす中、貧しくとも健気に生きる少年との交流、祖父の死を経て記憶と誇りを取り戻し、真の自分を取り戻す……、といったお話で王道路線の展開なんですが、主人公はベンキマン。話自体は極めて真面目に展開しているんだけど、1ページに一か所はツッコミ所があるんじゃないかという勢いでツッコミ所が出現する上、登場キャラにはツッコミ不在ゆえに、ひたすらツッコミながら読まなければいけない作品に仕上がっていました。
 まず1ページ目からベンキマンは記憶喪失だったという一度も聞いたことのない設定が登場。頭にあるオブジェはなんなのか?ってウンコに決まってるだろ、とツッコミを入れながら読むとベンキマンはエラード(ソフトクリーム)マンと呼ばれていたというまたもや聞いたことのない設定が登場。ゆでの後付設定はもう神の域に達している。
 どう見ても便器にしか見えないボディを誰も便器と気づかないとか、地味に銅ベルマンが出演してるとか、スペイン兵がなぜか武器を使わずベンキマンにバックドロップを決めるとか、サルの地上絵はウンコをする古代人の絵だったとか、ツッコミ所は多数あるけれど、作中ではギャグとして扱われていない分だけギャップで余計に笑えるのが凄い。
 笑いを取るためにあえて生真面目な作りにしてツッコミを入れるのはひたすら読者に任せるという今回の作りはベンキマンというキャラによく合っていたのではないかと思います。古代インカ帝国出身とか4000年生きてるという超人紹介コーナーのネタをちゃんと料理してるし、良い読み切りだったのでは。
 あと、ラストで観客が興奮してウンコを投げる、という展開は個人的には是非やってほしかったので、実際にあって嬉しかったけど、あのウンコどこから出したんだよ、というツッコミは礼儀として入れておきます。