ムービー大戦2010感想

 見てきました。今回の映画はディケイド完結編、仮面ライダーWビギンズナイト、そしてムービー大戦の三本立て。この構成は観る前から知ってたけど知らなかったらたぶんディケイド完結編が終わった時点で『また完結しないのかよ!』と焦ることになったと思うw
 ディケイド完結編はテレビシリーズ最終回とキレイにつながってないし、最終回で流れた予告もすべて嘘、あげくに鳴滝やキバーラの目的とか正体がスルーされていたりして色々ひどいんだけど、『ディケイドとは一体何者だったのか?』という一点だけについてはきっちり決着をつけておりました。『物語を持たないライダー』であるディケイドは他のライダーの物語を破壊し再生するトリックスター的な存在で、その使命を果たした後はまさにトリックスターとして始末される運命だった。しかし仲間達と作り上げてきた記憶によってディケイド=士は復活しディケイド自身の物語がはじまる……という平成ライダーの世界を破壊してきたディケイド自身の破壊と再生を描いたという点では良い最終回だったんではないでしょうか。色々ひどい部分は多いんだけどちゃんと終わったからまあいいやという感じで。
 あと仮面ライダーキバーラの尻がエロかった。
 ビギンズナイトの方は現在の風都で起きた死者の黄泉返り事件の調査を通して、ダブルが誕生した夜のことが語られるというお話。映画ならではの派手さはそれほどでもなくてテレビエピソードの延長的な感じではありますが、ストーリー的には翔太郎とフィリップのWとして戦う動機が語られるという点で重要な回。二人の戦う動機は共に『贖罪』。ダブルの決め台詞も『お前の罪を数えろ』というあたり『贖罪』というのはダブルの中でけっこう大きなテーマとなっているんでしょうか。過去のシーン自体は割とさらっと流されて尺自体は短いんだけど吉川晃司演じるおやっさん、鳴海壮吉の存在感によって強く印象に残るものになってました。過去シーンの中では新フォームファングジョーカーがテレビに先行して登場。フィリップが閉じ込められていたビルを破壊したのも実はこのファングジョーカーの仕業でした。
 物語の中心はアイドル歌手アサミの亡くなったはずの姉の姿が風都で目撃されたことに痰を発する死者の黄泉返り事件なんですが、ここで描かれる『生き返った偽物』『記憶の中で生き続ける本物』というモチーフはディケイドのオリジナルとリ・イマジネーションの考え方が対になっているのはけっこう興味深いところです。この後のムービー大戦のW側の物語の落としどころはこの辺について考えざるを得ない展開になってますし。
 なお今回の映画では出番自体はそれほどでもないものの園咲ファミリー、情報屋、刑事コンビといった面々もフル登場しております。特に霧彦、冴子、若菜姫の三幹部が仲良く怪人に変身してダブルを襲うというのはけっこう珍しい絵なんじゃないでしょうか。ちなみに琉兵衛パパはディケイド編に凄く深刻な影響を与えていたことが判明しますwその辺に絡めて登場するドーパントにもちょっとした仕掛けがあるのが面白いところ。
 そして最後のムービー大戦ではディケイド、ダブルが共闘しドーパント&スーパーショッカーと戦うという展開に。もう仮面ライダーではなくほとんど怪獣映画のような派手なバトルが繰り広げられていて楽しかったです。ダブルのファイナルフォームライドに関しては宣伝でネタバレされてたんで新鮮味はありませんでしたが。
 というわけでディケイド部分には色々言いたいこともあるけど、全体としては凄く面白かったです。特にディケイドとダブル、互いのテーマが双方にいい影響を与え合っているところが素晴らしい。ディケイドだけ見た時点では『なんで出てきたんだろ?』と思った電波人間タックルもダブル見た後では出てきた意図について考えさせられたし。これから見に行く人は出来たら1月3日のダブル放送前に見ておいたほうがいいような気も。