罪のないファンガイア殺害はスルー

 侍戦隊シンケンジャーはけっこう面白そうな予感。今回のレッドはクール系、生まれついてのリーダー『殿』でありながら、配下の侍たちの忠義を拒んでいる、というなかなか凝った設定。侍召集から誰が殿様かで混乱する小コントのくだりで各キャラの特徴及び殿への忠義に対するスタンスが明快にさらっと描かれるあたりはさすが小林靖子。これからどんな人間ドラマが描かれるのか楽しみであります。

 今週のディケイドはまだ記憶に新しいキバ編。いきなりの糸矢が登場という掴みからスタートしますが、そのインパクトも後半には忘れてしまう程相変わらず密度が濃いぜ!
 今回の見所はいきなり無実なのに殺されるライオンファンガイア(原作のルーク)とか、なぜかキバに仕えている着ぐるみ三馬鹿トリオの登場、そして三馬鹿を生かした久々のバッシャー、ドッガ、ガルルフォームへの変身、さらにはクウガとのフォームチェンジ対決、可愛いマスコットかと思ったらなんかエロいキバーラなどなど。かぁ〜ぷ(はあと)は反則だし、噛まれて嬉しそうにしてる鳴滝は変態。さらにはみんな大好き極悪ライダーカイザがオリジナルの役者ボイスで登場……したけど、正直こんな声だったっけ、とちょっと困惑しました。もう5年以上経ってるしなあ。台詞なんかはオリジナルを踏まえていて良かったですけどね。
 クウガの世界ではクウガの中の人が別人になってましたが、キバの渡もワタルという別人、しかも少年になっています。さらにはこのキバの世界では人間とファンガイアの共存が実現したという世界になっており、ある意味キバ本編で描かれなかった続編的な内容になっているのが原作ファンには興味深いところです。
 そして一見ふたつの種族が共存しているように見える世界は掟を強制することでかろうじて秩序が保たれていることが明らかになり、人間との共存などありえないと嘯くワタルの父らしきファンガイアも登場。父親がファンガイアで母親が人間と、原作とは逆の立ち位置になっているのはなかなか興味深いです。ワタルが子供になっているのは親子関係を描くための演出なんでしょうな。
 名護さんの面白さも昼ドラめいたドロドロの恋愛模様もない代わりに、親子の絆、そして異種族との共存をめぐる葛藤というキバの二大エッセンスだけを抜き取り新たな物語として再構成したディケイド版キバ、次回が非常に楽しみです。