理想の体現者!!

 マッスルスパークは「究極のみね打ち」だった!!
 というわけで(休載期間も)長かったスグルvsネメシス戦はついに決着。もちろんスグルの勝利という形でカタがついたわけですが、スグルの機転とか執念による逆転勝利というよりは、完璧超人という括りにこだわったネメシスが自爆して棚ボタ的にスグルに勝利が転がりこんできたって印象が強いですな。
 無量大数軍との戦いでは実力による勝利をもぎ取っていた正義超人軍も完璧超人幹部クラスである始祖やネメシスに関しては玉虫色の勝利しか掴めていないのはちょっと残念ではありますが、敵対者と「分かり合うこと」が正義超人の信条だとするとテリーマンやスグルのような勝利の仕方が正義超人の勝利の仕方としては正しいのかもしれないです。
 始祖たちに勝った悪魔騎士たちも決して実力で相手を上回っていたわけでなく、一芸を磨き続けさらに片腕を犠牲にして勝利を掴んだジャンクマン、自分の実力が足りないから相手の能力を利用したサンシャイン&ザ・ニンジャと悪魔の信条である「手段を選ばない」を貫いた結果、勝利を得られたわけで、強敵を貶めることなくベビーフェイス側の勝利を書き続けられたゆで先生は本当に凄いと思う。
 正義超人、悪魔超人がそれぞれの信条を貫いた結果、ギリギリの勝利を掴んでいた中、異質だったのはバッファローマンで、彼だけが火事場のクソ力を偶発的でなく継続的に使い続け、実力での勝利に近い形でグリムリパー、ガンマンといった強敵を打ち破っていたのは印象的でした。
 他の超人たちが正義、悪魔という枠組みの中に留まり続けていたのに対し、バッファローマンだけは悪魔→正義への移籍(そして悪魔への再移籍)ということをやっていたわけで正義と悪魔、両陣営を経験してることが今シリーズでの優遇ぶりに繋がったのかな、という気も。そういえば二世で最優遇されたケビンも正義と悪の両陣営を経験した超人でしたね。

 余談が長くなりましたがマッスルスパークを被弾したネメシスは立ち上がりながらもテンカウント中のダウンで敗北。そしてその間に敬愛する兄タツノリの幻を見るのでした。
 勝利に湧くセコンドたちにマッスルスパークは「究極のみね打ち」だと語る前大王真弓。究極のみね打ち、という概念はヒーロー物の漫画が抱えてきた「正義が力ずくで相手を殺害していいのか?」という問題に解決を与えてくれる名回答のひとつ、という感じがしていいですね。
 もっともこういう高度な技を使っても読み切りに出てきたようなタイラントとかケンブリッジマンみたいな小悪党が打ちのめされて改心するかというとたぶん恨みを晴らしに来るだけなんで、ああいうのは必要以上のダメージを与えて二度と戦えない体にすべきなんだろうけど。
 そんなわけで今回はベタだったけど熱くて面白い回でした。次回はこの戦いのエピローグになるだろうけど、この戦いの終わりからどうやって閻魔vs将軍戦につながっていくのか、あるいは別の展開になるのか。年内にそこははっきりさせてほしいところ。