合掌

 てのひら怪談作家のひとり、峯野嵐さんが今年四月に亡くなられていたと『東雅夫の幻妖ブックブログ』で知りました。
 『てのひら怪談』収録作「おかえり」、『てのひら怪談2』収録作「ハンター」『週刊てのひら』掲載作「登山競争」の三作を改めて読みましたが、いずれの作品もありふれた日常の中に不意打ちのように現れる怪異が印象的な作品だったと思います。
 「登山競争」「ハンター」の二作は出現する怪異の異物感、キャラ立ちの強さが印象に残りましたが、「おかえり」から通して読むとインパクトある怪異作りよりもむしろ怪異出現までの雰囲気作り、怪異を皮膚感覚として読者に伝える力に優れた方だったのだな、との印象を受けました。これから峯野さんの新しい作品を読む機会がないことは残念であり、寂しく思います。
 謹んでご冥福をお祈り申し上げます。